どっちも楽しい!スノーバイク×カーリング

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すでに地域の名物になりつつある雪や氷の上を極太のタイヤを履いたファットバイクで走るスノーライド。今季は、ここにカーリング体験を合わせて楽しむ、北見ならではのプランが発案された。施設間の移動には、ファットバイクと北見バス路線を使うため、レンタカーの確保、運転の必要もない。ファットバイクをレンタルすれば、まさに手ぶらで楽しむことができる。

雪の中を走るスノーライド

このプランを体験してくれるのは、弱虫ペダルサイクリングチームの唐見実世子さん。チームでは、コーチとしても活動されている選手だ。ロード種目でアテネ五輪にも出場されているが、ロードレースだけでなく、冬の自転車競技シクロクロスでも日本のトップで活躍されてきた選手である。私、絹代も同行し、2人でプランを体験することになった。

朝8時10分、北見バスターミナルから、北見バスの常呂線に乗車し「ノーザンアークリゾート」を目指す。この施設にある「ヒーローズパーク」には、冬季はスノーバイクライド用のファットバイクコースが設営されるのだ。

北見バス常呂線に乗って「ノーザンアークリゾート」へやってきた唐見さん
ヒーローズパークのヒロさん。除雪車両を使わず、丁寧な除雪で、美しいコースを作り上げ、管理している

8時30分すぎに到着し、「ヒーローズパーク」主宰のヒロさんと合流した。ファットバイクコースは、ゴルフ場のカートコースを活用したもので、雪化粧した広大なゴルフ場敷地の美しい自然の中、バイクを走らせることができる。

雪の中を走るスノーライド今季は1月の積雪量が極めて多く、除雪に難航し、ライドが決行された1月上旬の段階では、丘に上がり、降ってくるショートコースが用意されていた。長くはないかもしれないが、アップダウンもあり、十分走りごたえがあるコースだ。(この後、除雪が進み、エリアを一周するコースが開通した)

コースのスタート地点までファットバイクとともにクルマで上げてもらった。まずはバイクのフィッティング。ファットバイクは、タイヤが太く、とても安定しているため、特にサイクリストでなくても普通の自転車と同じ感覚で乗ることができる。今回は雪上を走るが、スパイクタイヤを履いているため、氷の上でも滑りにくく、除雪された道であれば意外なくらい安定して走れるのだ。サドル高を合わせ、コースへ出発。

準備を済ませ、走りに行くぞ!

前夜から雪が降り、前日整備してくれたコースの上に積もってしまった。ヒロさんが早朝から再度除雪をしてくれたのだが、雪は降り止まず、スタート時でもまだコースを覆い続けていた。「雪がまた積もってしまったので、ちょっと走りにくいかもしれません」と苦笑するヒロさん。ふわふわの真っ白な雪が積もったフィールドは最高に美しく、おとぎ話の世界のよう!ファットバイクにまたがり、コースに漕ぎ出した。

唐見さんはコースに踏み出し、思わず大きな声を上げた。これまで乗ってきた他の自転車とはまったく感覚が違うという。さすがのコントロール力で、スイスイと軽快にバイクを進めていった。

ヒロさんを先頭にふわふわの雪の中、バイクを走らせる。未知の感覚だ

ファットバイクのタイヤが生み出す乗り心地自体がソフトなのだが、ペダルを踏み込むと、雪のクッションに吸収されていくような感覚。ふわふわの雪の上を走るのは、未経験の感覚だった。タイヤがうまく噛まず、空転して止まってしまうこともあったけれど、そんな悪戦苦闘も、このふわふわの感覚も楽しいし、美しい雪景色の中を抜けるのは最高の冒険だ!

舗装道路の上ならなんでもないちょっとしたアップダウンも、雪の上では大仕事。いったん止まってしまうと雪に滑り再スタートに苦戦する。ときには乗るより押し歩いた方が速く、押して走って、前の2名を追いかける。そのたびに大笑い。気温はもちろん氷点下だったが、ウェアの中は汗だくで湯気が出てきそうだ。冷気が吹き付ける指先だけが、じんじんと冷たく、現在気温を教えてくれる。

丘を上り切り「茶屋」に到着。「営業中」の札がかかっていた
「茶屋」の中でホットドリンクを用意してくれるヒロさん

休憩地点の「茶屋」が立つ丘の上に到着。「茶屋」には「営業中」の札がかかっていた。思わず笑うと「本当に営業してるんですよ」と、ヒロさんは微笑み、お湯を沸かしてくれた。要望があれば、カップラーメンも作れるという。

唐見さんはほうじ茶オレ、私は抹茶オレをオーダー。温かいオレと北見名物のミントクッキー、メンビスをいただいて、ほっこり。なにせ雪の中。メンビスのチョコがキンキンに冷えていて、新鮮な食感だった。

窓の外は一面の雪景色。大きな窓からの眺望を三人で独占する贅沢な時間を堪能した。

雪見ティータイム
雪景色を楽しみながら、温かいオレをいただく
スイスイとダウンヒルしていく2人

ティーブレイクの後はダウンヒル。この茶屋からスタート地点に向け、降っていくのだ。雪がかなり積もり、どこもかしこもふんわりと白いので、どのラインを追って走ったらいいのかわからず、戸惑った。実際はタイヤが太く安定しているため、怖がらずに走ってさえ行かれれば問題ないのだけれど。

ゴルフ場自体の景観も美しいけれど、このコースは高台に位置し、北見の町も見渡せるため、広がりのある最高の景観を楽しめるのだ。なんと贅沢な経験であることか。

ふりしきる雪の中を走る。幻想的な世界だ

バランスを崩すたびについつい声が出る。時に悲鳴を上げ、笑い声を上げて、純白の世界の中をクルーズした。

少々のアップダウンを越えて、出発地点に戻った。「では、ここからは公道に出ますから、気をつけて行きましょう!」笑顔のヒロさん。この日のために、試走し、農道中心に安全に走れるコースを設定してくれていたのだ。さあ、この後は、スイーツとランチが待っている。いざ、スタート!

ヒロさんに付いて走る、気づいた時にはもう公道に入っていた。行きのバスの車窓から見た施設の前を抜けていく。すべてが真っ白で、場所の感覚がにぶくなっている。

路肩の道路標識を見て、一行が公道に入っていることに気づく
街へ下っていく

クルマに関しても、積雪した道の通行は安全優先の判断になるため、通常とは異なるレーンで走ることもあるし、急ブレーキが予期せぬ危険を招くこともある。ウェアやアクセサリーはよく目立つ明るい色味のもので揃え、ドライバーさんに遠方から目視してもらえるようにしたい。

雪景色の中を走る。一般道は除雪が行き届いているため、問題なく走行することができた
雪の平原と化した畑の間を走る。雪化粧した遠くの山々も美しい

端野地区の広大な田畑は雪で覆われ、農作業も行われないため、農道の交通量は極端に少ない。とはいえ、しっかりと除雪は施されているため、スパイクタイヤを履いたファットバイクであれば、少しも不安なく、快適に走行することができた。一面に広がる真っ白な平原の間をひた走る。こんな経験があったなんて!

スイーツ店「Shiga」に到着!ファットバイクの移動は、拍子抜けするくらいスムースだった
店内はおいしそうなスイーツでいっぱい!目移りする女子たち

農道から幹線道路の歩道に乗り、スイーツ店「Shiga」に入った。ここまでの3kmはあっという間だった。洋菓子、和菓子、生ケーキ、いろいろあるけれど、手軽に食べられるものをチョイス。

店舗の外に出て、先ほど濃厚なクリームを詰めてもらったサクサクのコロネやシュークリームをパクリ。食感も、味も、驚くほどおいしかった。「あと5kmほどです。ランチまで、がんばりましょう!」笑顔のヒロさん。エネルギーをチャージして、再出発!

選んだスイーツを店の前でパクリ。絶品スイーツにパワーをもらった!

再び、畑の間の道へ。走行にも慣れ、早くランチにありつきたくて、走行スピードが一気に上がった。時折行き交うクルマのドライバーたちは、ファットバイクで走る3名に驚く様子を見せるが、皆とても友好的に空間を開けて、ゆっくりと抜いてくれ、こちらも会釈で礼を言う。こういう地元の心遣いがあってこそ実現するライドであるとも言えよう。

ランチに向けてスピードアップ!さすがにヒロさんと唐見さんは速い!
「アスリートステイズ」 に到着!

眺望のよい4階の食堂エリアに案内され、すぐにランチが運ばれて来た。管理栄養士さんが監修したアスリート向けのメニューで、高タンパク、低脂質で、温野菜もたっぷり含まれている。通常は宿泊客のみへの提供だが、今回は特別に用意してくれた。

野菜がたっぷり使われたランチ。必要な栄養素がしっかり盛り込まれ、味も、食感も○。毎日食べたくなるランチだ
野菜がたっぷり使われたランチ。必要な栄養素がしっかり盛り込まれ、味も、食感も○。毎日食べたくなるランチだ

味付けや調理法はシンプルで、素材の味が生かされていた。この1食の中にどれだけの材料が使われていることか。身体を動かした後だからこそ、いっそう細やかにおいしさを感じとることができたのかもしれない。得した気分になった。

「アスリートステイズ 」には、宿泊室だけでなく、トレーニングルームやミーティングルーム、マッサーが使えるベッドなど、様々な競技のトップアスリートでも満足できる設備が整っている。競技選手でなくても、市内で自転車やSUPなどのアクティビティーを楽しむならば、応相談で利用可能とのこと。昨年夏に開業したばかりの施設だが、アフターコロナには、大いににぎわうに違いない。

マシンが揃ったトレーニングルーム
マッサージベッドも入ったミーティングスペース

居心地のよすぎる食堂に長居してしまった。大急ぎでファットバイクにまたがり、カーリングホールへ向かう。

「アルゴグラフィックスカーリングホール」へ。ここからはカーリングタイムだ

目と鼻の先にある「アルゴグラフィックスカーリングホール」へ到着。この施設では、気軽にカーリング体験をすることができる。指導者の方に付いていただけて、シューズなどの備品もレンタル可能であるため、事前予約さえすれば、誰でも体験できる。この日は1時間コースを予約していた。

ロビーでストレッチと基本体勢の予備練習をする。ヨガみたい!?

まずはロビーで指導者の方のアドバイスを受けながら、プロテクターを装着し、ストレッチ。念入りにストレッチする理由は、ストーンを投げる姿勢にあった。中継を見ている時には何も感じなかったが、これが意外と難しい。利き足と反対の足を前に出し、膝を横に開く形で深く前屈するのだ。「氷の上でこんなことができるのか」と不安の色を隠せない私たちに、指導者の方は「まぁ、やってみましょう!」と笑顔で移動を促した。

カーリングで使う靴には、利き足には滑らないソール、反対側には滑るパーツ付きのソールが貼られているという。今回は普通のシューズを使い、滑らせる方の足の下に専用の板を入れて体験するようだ。

氷の上を歩く練習からスタート
ついにストーンを投げる!

まず氷の上を歩き、氷上で体勢を取り、実際に滑る、と段階を追って基本動作を練習する。滑るソールの足の上に重心を置き、バランスを取って、体勢をキープし、さらに滑るのが難しく、ヨレヨレと生まれたてのバンビのようになってしまう。悔しいけれど、楽しい!

1時間は瞬く間に終わってしまった。リベンジを誓いつつ、指導者の方にお礼を言い、カーリングホールを後にした。

この付近には徒歩圏にバス停も多く、複数の路線が北見バスターミナルに向かっており、時間に応じて路線を選ぶことができる。ヒロさんは自転車をクルマに積んで戻り、我々は北見バスで北見バスターミナルに向かった。

スノーライドとカーリングを合わせた贅沢なプラン。もっと上手に走ったり、滑ったりするには練習が必要ではあるが、体験のハードルは意外と低く、存分に楽しむことができ、忘れられない経験になった。

カーリング体験は通年実施されているが、ヒーローズパークのスノーライドは3月上旬まで。現在は美しい周回コースの走行を楽しむことができる。

まっすぐに伸びる木々と、その影もまた美しい。印象的な景観が続く周回コース
ほどよいアップダウンが続く、変化のあるコースを満喫できる

興味のある方は、ぜひ、お早めにお問い合わせを!

注)雪や氷の上を走る場合は、ガイドやインストラクターの方に帯同(先導)をご依頼ください。自分のファットバイクで、自己判断で自由に公道を走るのは大変危険です。危険の少ないコースや安全な走り方のアドバイスを受け、安全を確保し、道路交通法を遵守した上でご体験ください。

ノーザンアーク HEROES PARK:https://heroespark.info/

アルゴグラフィック北見カーリングホール:https://www.kitami-curlinghall.info/